スチコンで魚を焼いたら、
「焼き色はきれい。でも中まで火が通っている?」
「追加で焼いたら、今度は焦げてしまった」
「同じホテルパンなのに、焼き色がバラバラ……」
こんな経験はありませんか?
スチコンの焼き魚は、ただ温度と時間を設定すれば終わりではありません。
魚の厚み、並べ方、ホテルパンを入れる位置によって、焼き上がりが変わります。
給食調理の現場で私が実践しているのは、コンビモード190℃で5分、入れ替えて180℃で5分という焼き方です。
今回は、魚をふっくら仕上げながら焼きムラや焦げを防ぐ、5つのコツを紹介します。
※スチコンの機種、魚の種類や大きさ、投入量によって加熱時間は変わります。職場の衛生管理基準を優先してください。

1.クッキングシートを水で落ち着かせる
最初にスチコンを、コンビモード190℃で予熱します。
予熱している間にホテルパンを準備しましょう。
ホテルパンの上にクッキングシートを敷きます。
ところが、このクッキングシート。意外と落ち着きがありません。
端が丸まったり、少しの風で動いたりします。
そこで、ホテルパンに軽く水をかけてから、クッキングシートを敷きます。
水が接着剤のような役割をして、シートがホテルパンにピタッとくっつきます。
ほんのひと手間ですが、魚を並べる作業がかなり楽になります。
シートを敷いたら、表面に油を軽く振ります。油の量は、魚の脂や味付けに合わせて調整してください。
2.魚を重ならないように並べる
下処理と味付けをした魚を、クッキングシートの上に並べます。
魚の下処理については、別の記事で詳しく紹介する予定です。
並べるときの大切なポイントは、魚を重ねないことです。
隣同士がくっついていたり、魚が重なっていたりすると、熱の当たり方に差が出ます。
すると、
- 焼き色がつかない部分ができる
- 中心温度にばらつきが出る
- 一部だけ加熱しすぎる
といった失敗につながります。
魚にも、ある程度のパーソナルスペースが必要です。
ホテルパンの中でケンカをさせず、少し余裕を持って並べましょう。
3.190℃で5分焼き、ホテルパンを入れ替える
予熱が終わったら、ホテルパンをスチコンに入れます。
まずは、コンビモード190℃で5分焼きます。
5分たったら、ホテルパンの位置を入れ替えます。
- 上段と下段を入れ替える
- 手前と奥の向きを変える
これが、焼きムラを防ぐ大切な作業です。
スチコンは便利ですが、すべての場所にまったく同じように熱が当たるとは限りません。
「スチコンに入れたから、あとは機械にお任せ」
そう思いたくなりますが、スチコンも完全無欠ではありません。
人間と同じで、少しだけ手助けが必要です。

4.180℃に下げて5分焼き、中心温度を測る
ホテルパンを入れ替えたら、温度を180℃に下げて、さらに5分焼きます。
焼き上がったら、魚の中心温度と焼き色を確認します。
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、加熱調理食品は、原則として中心部を75℃で1分間以上、または同等以上まで加熱し、温度と時間を記録することとされています。厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
私の現場では安全を確認しやすいよう、魚の中心温度が85℃を超える程度まで上がっているかを目安にしています。
ただし、85℃は私の現場での実践上の目安です。勤務先で定められた加熱基準と記録方法を必ず優先してください。
肉厚の薄い魚なら、中心温度が90℃前後まで上がることもあります。
一方、鮭のような肉厚の魚や、上に具材をのせた魚は、同じ時間でも中心まで熱が届かず、追加加熱が必要になる場合があります。
測るときは、薄い部分ではなく、魚の最も厚い部分に温度計を刺します。
見た目だけで「たぶん大丈夫」は禁物です。
魚は返事をしてくれませんが、中心温度計は正直です。
5.追加加熱は短時間で、焦げを確認する
中心温度が足りない場合は、追加で加熱します。
このときは、長い時間を一度に設定せず、短時間ずつ焼き色を確認するのがポイントです。
特に、味噌焼きや照り焼きなど糖分を含んだ魚は焦げやすいため、少し低い温度で長めに焼く方法がおすすめです。
追加加熱で油断すると、
「中心温度は合格。でも表面は黒焦げ」
という、うれしくない結果になります。
私は実際にやりました。
失敗した本人が言うので、ここは説得力があります。
追加加熱は、温度だけでなく焼き色も確認しながら行いましょう。

焼き色が足りないときはバーナーも使える
中心温度が十分に上がっているのに、表面の焼き色が薄いこともあります。
その場合は、バーナーで表面だけに焼き色をつける方法があります。
ただし、最初からバーナーを使う予定なら、魚の下にはアルミホイルを敷いてください。
クッキングシートにバーナーの火を当てると、燃える危険があります。
魚に焼き目をつけるつもりが、クッキングシートまで元気に燃え始めたら大変です。
バーナーを使用するときは職場のルールに従い、周囲に燃えやすい物がないことを確認しましょう。
照り焼きは最後にタレを塗るときれいに仕上がる
照り焼きは、焼く前から濃いタレをつけると焦げやすくなります。
そこで、焼き上がった魚をホテルパンから取り出し、別に煮詰めた照り焼きのタレをハケで表面に塗ります。
すると、ツヤが出て見た目がぐっと良くなります。
正直に言えば、少し手間はかかります。
大量調理で一尾ずつタレを塗っていると、途中で「まだあるのか……」と思うこともあります。
それでも、きれいに並んだ照り焼きを見ると、そのひと手間が報われます。
まとめ|時間だけでなく中心温度と焼き色を見る
スチコンで焼き魚をふっくら仕上げる5つのコツは、次のとおりです。
- ホテルパンを軽くぬらし、クッキングシートを密着させる
- 魚同士が重ならないように並べる
- 190℃で5分焼き、上下・手前奥を入れ替える
- 180℃でさらに5分焼き、中心温度を測る
- 追加加熱は短時間で行い、焦げに注意する
魚の厚みや味付けが違えば、同じ設定でも焼き上がりは変わります。
大切なのは、設定時間だけを信じるのではなく、中心温度と焼き色の両方を自分の目で確認することです。
スチコンは優秀ですが、最後の判断をするのは調理する人です。
そして追加加熱は慎重に。
私のように、魚より先に自分の顔が青くならないようにしましょう。

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