こんにちは、かずおです。
私は60代。
介護施設の給食現場で、調理師として働いています。
先日、人手が足りない給食現場へヘルプに行ってきました。
以前、その現場を訪れたときのことです。
若いMGが、かなり疲れていました。
「もう辞めたい」
そんな言葉も出ていたので、私は心配していました。
今回も、きっと暗い雰囲気なのだろう。
そう覚悟して、厨房の扉を開けました。
ところが、びっくり。
若いMGは元気いっぱい。
笑顔で明るく、私にいろいろ話してくれます。
「あれ? 辞めたいと言っていた人はどこへ?」
思わず厨房の中を探しそうになりました(笑)。
どうやら人員が増え、少し働きやすくなったようです。
話を聞いていくと、その裏では人事異動をめぐって、いろいろなことが起きていました。
今回は、誰かを批判する話ではありません。
給食現場の人事異動が、なぜ難しいのか。
私なりに考えてみます。
※プライバシーに配慮し、個人や職場が特定されない形で紹介しています。

経験豊富な人が異動する予定だった
その現場では、立て直しに向けて人員体制を見直していました。
そこで、給食現場をよく知る経験豊富な人が、新しく加わる予定になっていました。
経験がある人なら、仕事を覚えるのも早い。
現場の問題点にも、すぐ気づいてくれる。
周囲にも、そんな期待があったと思います。
ところが、実際に話を進めてみると、さまざまな課題が見えてきました。
仕事の進め方。
現在働いている人との関係。
意見の伝え方。
そして、現場との相性。
経験が豊富だからといって、すべての職場にすぐなじめるとは限りません。
本人に現場を良くしたい気持ちがあっても、その熱意が強すぎると、受け入れる側が戸惑うこともあります。
反対に、受け入れる側にも、
「今までのやり方を変えたくない」
という気持ちがあるかもしれません。
さまざまな事情が重なり、当初予定されていた人員配置は変更されました。
代わりに別の方法で、人員体制を整えることになったそうです。
厨房の人事異動は、鍋やホテルパンの場所を変えるようにはいきません。
人には感情があります。
仕事のやり方にも、それぞれのこだわりがあります。
配置してみなければ分からない。
まさに、フタを開けるまで分からないのが人事異動なのです(笑)。

うまくいかなかった5つの理由
1.経験が豊富だからこそ、気になることが多かった
経験豊富な人は、現場の問題点に早く気づきます。
衛生管理。
作業の流れ。
食材の扱い方。
スタッフ同士の役割分担。
経験があるからこそ、
「ここは変えたほうがいい」
「もっと良いやり方がある」
と感じることも多いでしょう。
それは、現場を良くするための大切な視点です。
しかし、働き始めてすぐに改善点を伝えすぎると、受け入れる側は戸惑います。
「今までのやり方を否定された」
そう感じる人もいるかもしれません。
経験は大きな強みです。
ただし、その経験をいつ、どのように出すかも大切なのだと思います。
2.正しい意見でも伝え方が難しかった
経験豊富な人の意見は、現場を改善するために役立ちます。
ただし、正しいことを言えば、必ず受け入れてもらえるわけではありません。
給食現場では、忙しい時間に細かく指摘されると、誰でも余裕がなくなります。
こちらは助言のつもり。
相手には、注意されたように聞こえる。
そんなすれ違いは、よくあります。
味付けと同じです。
適量の塩でも、一気に入れると「しょっぱい」と感じます。
意見も少しずつ。
相手の様子を見ながら伝えることが大切です。
正しい内容よりも、伝える順番やタイミングが重要な場合もあります。
3.現在のMGが板挟みになった
現場には、すでに若いMGがいます。
そこへ、経験豊富な人が新しく加わる予定になりました。
若いMGからすれば、かなり気を使う状況です。
自分のやり方で進めたい。
でも、経験者の意見も無視できない。
現場のスタッフから意見が出れば、その対応もしなければなりません。
上からも下からも意見が来る。
まさに、MGサンドイッチです。
パンならおいしそうですが、職場ではあまり挟まれたくありません(笑)。
若いMGが疲れてしまうのも、無理はありません。
管理者は、調理や事務作業だけをしているわけではありません。
スタッフの話を聞き、勤務を調整し、ときには人間関係の間にも入ります。
人手不足の現場では、その負担がさらに大きくなります。
4.仕事の経験だけでなく相性も必要だった
仕事ができる人を配置すれば、現場がうまくいく。
人事異動では、ついそう考えてしまいます。
しかし、給食現場は狭い厨房で、同じメンバーが長時間働きます。
仕事の能力だけでなく、人の相性も大きく影響します。
話し方。
仕事の進め方。
注意の仕方。
相手との距離の取り方。
ほんの小さな違いが、毎日積み重なります。
料理なら、少しくらい相性の悪い食材でも、調味料でまとめられます。
人間関係には、万能調味料がありません。
経験豊富だから、どの現場でも大丈夫。
若い人だから、経験者に従えばいい。
それほど簡単ではないのです。
能力の高い人を入れるだけでなく、今いるスタッフとうまく働けるか。
そこまで考える必要があるのだと思います。
5.一つの変更が多くの人に影響した
人事異動は、異動する本人だけの問題ではありません。
送り出す職場は、その人がいなくなる前提で新しい体制を作ります。
受け入れる職場も、新しい役割分担を考えます。
さらに、別の職場から応援に入る人もいるでしょう。
一つの計画が変更されると、複数の現場に影響が広がります。
人事異動は、将棋に似ています。
一つの駒を動かせば、ほかの駒の動きも変わります。
ただし、人は駒ではありません。
気持ちもあります。
生活もあります。
「やっぱり元の場所へ」
そう簡単に戻せないところが、人事異動の難しさです。
「辞めたい」の言葉だけでは分からない
今回、私が一番驚いたのは、若いMGの変化でした。
以前は疲れた表情で、
「辞めたい」
と話していました。
ところが人員が増えた今回は、明るく元気でした。
話も止まりません。
私には、ずいぶん楽しそうに見えました。
「辞めたい」という言葉には、いろいろな意味があります。
本当に辞める決意をしている人。
助けてほしくて言う人。
今の働き方を変えてほしい人。
その日の疲れで、つい口にする人。
言葉だけを聞いて、本心を判断するのは難しいものです。
若いMGも、そのときは本当に限界だったのかもしれません。
人員が増えたことで、気持ちに余裕が戻ったのでしょう。
元気になった姿を見て、私は安心しました。
同時に、
「私の心配を少し返してほしい」
とも思いました(笑)。
それほど、前回とは別人のように明るかったのです。

誰か一人が悪いわけではない
今回の話は、見る立場によって印象が変わります。
若いMGには、若いMGの苦労があります。
経験豊富な人には、現場を良くしたい思いがあったはずです。
現在働いているスタッフにも、今まで守ってきた仕事のやり方があります。
人員を調整する側も、人手不足のなかで現場を立て直そうと動いています。
誰か一人を悪者にすれば、話は簡単です。
しかし、実際の職場はそんなに単純ではありません。
それぞれが自分の立場で動いた結果、歯車が少しずつずれてしまった。
私は、そのように感じました。
40年、人を見てきて思うこと
私は飲食業で40年、たくさんの人と接してきました。
現在は給食現場で働いています。
長く人を見てきて感じるのは、
仕事ができる人を集めるだけでは、良い職場にはならない
ということです。
能力や経験は、もちろん大切です。
しかし、それと同じくらい、
- 相手との距離感
- 現在の責任者を尊重する姿勢
- 意見を伝えるタイミング
- 新しいやり方を受け入れる柔軟さ
- 困ったときに話し合える関係
が必要です。
特に給食現場は、少ない人数で大量の食事を作ります。
一人の不機嫌が、厨房全体へ広がります。
反対に、一人の笑顔が現場を明るくすることもあります。
人を配置するだけでなく、その人が現場になじめるように支える。
そこまで考えて、初めて人事異動は成功するのだと思います。
まとめ|人を動かすだけでは現場は変わらない
今回の人事異動がうまくいかなかった理由は、次の5つです。
- 経験が豊富だからこそ、気になることが多かった
- 正しい意見でも伝え方が難しかった
- 現在のMGが板挟みになった
- 仕事の経験だけでなく相性も必要だった
- 一つの変更が多くの人に影響した
人手不足になると、とにかく誰かを配置したくなります。
しかし、人が増えれば必ず解決するとは限りません。
経験豊富な人を入れれば、必ず立て直せるとも限りません。
給食現場を立て直すために必要なのは、人の数だけではないのでしょう。
その人の経験。
現在のメンバーとの相性。
意見を伝える順番。
受け入れる側の気持ち。
それらを丁寧に確認する必要があります。
それにしても、落ち込んでいると思って会いに行った若いMGが、元気で明るかったのは何よりでした。
暗い厨房を覚悟して入ったら、本人が一番よくしゃべる。
こちらの心配だけが、少し置き去りにされました(笑)。
でも、職場に笑顔が戻ったのなら、それが一番です。

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